「この歳から音楽なんて、もう遅い」。そう自分に言い聞かせて、夢に蓋をしようとしていませんか。でも、その「もう遅い」は、本当にあなたの言葉でしょうか。誰かの声が、いつのまにか自分の声になっているだけかもしれません。年齢と夢の話を、ひとりの物語と一緒に、静かに問い直してみます。
健さん(仮名・38歳)は、会社員として働き、家族もいます。20代の頃は本気でミュージシャンを夢見ていましたが、生活に追われて、いつしかギターは押し入れの奥にしまわれていました。もう15年、まともに触っていません。
きっかけは、ふとしたことでした。子どもと一緒に見ていた動画で、40代から音楽を始めた人が、自分の曲を弾き語っていた。それを見て、胸の奥がざわりとしたのです。その夜、健さんは押し入れからギターを引っ張り出し、埃を払いました。でも、弦に指を置いた瞬間、頭にこんな声が響きました。
「今さら何やってるんだ。38にもなって、もう遅いに決まってる」
ギターを、もう一度しまおうとしました。もしあなたも、同じように手を止めた経験があるなら。少しだけ、この先を読んでみてください。その「もう遅い」を、一度だけ疑ってみたいのです。
「もう遅い」という言葉が、どこから来ているのかを考えてみると、面白いことに気づきます。それは、たいていあなた自身が本当に思っていることではないのです。
「音楽で成功するのは若いうちだけ」「大人が夢を追うのは痛い」。こういう考えは、いつのまにか外から刷り込まれたものです。学生時代の誰かの言葉、世間のなんとなくの空気、若い人ばかりが注目されるニュース。それらが積み重なって、「もう遅い」という声を、あなたの頭の中に住まわせています。試しに、その言葉を口に出してみてください。「もう遅い」。それは本当にあなたの心の声でしょうか。それとも、いつか誰かに言われた言葉の、こだまでしょうか。
周りの反対に揺れているなら、周りに反対されても音楽を続けたい人へも、隣に置いておいてください。
もう一つ、大事な事実があります。それは、音楽を始めて届けるための「入口」が、この10年で大きく変わったということです。
昔は、音楽で誰かに届けるには、レコード会社に見つけてもらうか、大きなライブハウスに立つしかありませんでした。そこでは、確かに若さが有利に働く場面もあったでしょう。でも今は、スマホ1台で、誰でも世界に発信できます。TikTokやYouTube Shortsで見つけてもらい、サブスクで曲を届ける。この入口に、年齢制限はありません。
実際、ネット発で広がったアーティストの中には、始めた年齢がさまざまな人がいます。大切なのは、若さではなく、続けられる仕組みを作れるかどうか。tuki.さんやimaseさんのように若くして広がった人もいれば、人生経験を重ねてから作った曲が刺さる人もいます。地方に住んでいても、完全オンラインで活動を伸ばせる時代です。この点は地方在住でも音楽で売れる|全国オンライン時代の戦い方でも書きました。
「若くないこと」を、ハンデだと思い込んでいませんか。実は、大人になってから始めることには、若い頃にはなかった強みがあります。
| 大人ならではの強み | どう活きるか |
|---|---|
| 人生経験がある | 歌詞に深みと説得力が出る |
| 感情の機微がわかる | 共感される曲が書ける |
| お金の管理ができる | 無理のない範囲で活動を続けられる |
| 続ける粘り強さがある | 一時の勢いで折れにくい |
| 「なぜやるか」が明確 | 目的がぶれず、迷いが少ない |
とくに歌詞は、経験が武器になります。20代では書けなかった一行を、あなたは今、書けるかもしれません。うまくいかなかった恋、手放したもの、それでも守ってきたもの。若い頃には言葉にできなかった感情が、今のあなたには、確かな重みを持って書けます。心に刺さる言葉の作り方は、心に刺さる歌詞の書き方にまとめました。あなたの重ねてきた年月は、無駄ではなく、素材です。
「もう遅い」と感じるとき、私たちは無意識に、10代でデビューしたスターと自分を比べています。でも、それは比べる相手が違います。あなたが目指すのは、誰かの人生をなぞることではなく、あなたの音楽を、あなたのペースで届けることです。
他人と比べて焦る気持ちは、SNS時代に特に強くなります。その苦しさとの付き合い方は、誰かと比べて苦しいループから抜け出す方法で書きました。比べる相手を「昨日の自分」に変えるだけで、「間に合わない」という焦りは、驚くほど静かになります。
締め切りを決めているのは、いつも自分です。誰も「何歳までに」なんて、決めていません。
「夢を追う不安」そのものと向き合いたいときは、夢を追う不安との付き合い方も、そっと隣に。
とはいえ、家族がいたり、仕事があったりする中で、「全部を捨てて音楽に懸ける」なんて、現実的ではありません。そして、その必要もありません。今の生活を守りながら、少しずつ始める道があります。
働きながら続ける現実的なやり方は、音楽を副業で続ける方法で具体的に触れています。大切なのは、大きく賭けることではなく、小さく、でも確かに始めることです。
あの夜、健さんはギターをしまいませんでした。代わりに、15年ぶりに一曲、弾き語ってみたのです。指はもつれ、声も出づらかった。でも、弾き終えたとき、忘れていた感覚が戻ってきました。「あ、そうだ。これが好きだったんだ」。
健さんは、いきなり大きなことはしませんでした。まず、週末の夜に少しずつギターを触り直しました。半年かけて、初めての自作曲を1曲、完成させました。スマホで録音して、匿名のアカウントでSNSに投稿しました。最初の3ヶ月、反応はほとんどありませんでした。それでも、月に2本のペースで続けました。
1年後、フォロワーは320人になっていました。決して多くはありません。でも、その中の数人が、毎回コメントをくれるようになりました。そして40歳の誕生日、健さんは小さなライブハウスの弾き語りイベントに、初めて出演しました。客席には、家族と、SNSで知り合った数人のファンがいました。歌い終えたとき、拍手が起きました。健さんは言います。
「38の夜、あのままギターをしまってたら、この拍手はなかった。遅いなんてことは、なかったんです。始めなかった15年のほうが、もったいなかった」
年齢は、確かに戻せません。でも、これだけは言えます。今日が、あなたの人生でいちばん若い日です。1年後に「あのとき始めておけば」と思うくらいなら、今日、押し入れのギターに手を伸ばしてほしい。5年後のあなたは、きっと「あのとき始めた自分」に感謝します。逆に、5年後も同じ「もう遅い」を繰り返しているのだとしたら、そのほうがずっと、もったいない話です。
「もう遅い」という声は、これからも時々やってくるでしょう。でも、その声より、あなたの中の「やってみたい」という小さな火のほうを、少しだけ信じてみてください。もし一人で踏み出すのが不安なら、その最初の一歩を、隣で一緒に考える相手がいます。何から始めればいいかは、アーティスト活動の始め方でも案内しています。
遅すぎることは、ありません。始めたその日が、あなたのスタートラインです。
STAR ROUTE MUSIC AGENCY
スタールートは、経験不問・年齢不問で、これから始める人ももう一度動き出したい人も歓迎する音楽事務所です。今の生活を守りながら、無理なく続けられる始め方を一緒に設計します。発信、楽曲制作、SNS運用代行まで、全国どこからでもオンラインで伴走します。相談は何度でも無料。しまいかけたその夢を、まず話しに来てください。