HOMECOLUMN / 楽曲制作

楽曲制作2026.08.11

MVの企画・絵コンテの作り方 完全ガイド|世界観を映像に落とす手順とショットリスト

MVの出来は、撮影のうまさより「撮る前の設計」で決まります。行き当たりばったりで撮ると、素材が足りなかったり、世界観がバラついたり。逆に、コンセプトと絵コンテを先に固めておけば、撮影も編集も迷わず進み、完成度がぐっと上がります。この完全ガイドでは、曲の世界観をコンセプトに落とす方法、コンセプトの引き出し方、絵コンテ(映像の設計図)の書き方、撮影前に決めること、ショットリストの作り方、参考MVの分解、そして一人で撮る場合の工夫まで、MVの「企画」を徹底的にまとめました。

MVは「撮る前」で決まる

MVづくりで一番差がつくのは、実は撮影本番ではなく企画の段階です。プロの現場でも、撮影に入る前に膨大な時間をかけてコンセプトと絵コンテを固めます。設計図があるからこそ、当日は迷わず撮れて、編集で素材が足りない事態も防げるのです。

個人のスマホ撮影でも、これは同じ。「どんな世界観を、どんな画で、どの順に見せるか」を先に決めておくだけで、完成度がまるで変わります。撮影・編集の実務はスマホでMVを自作する方法にまとめているので、この記事では「その前」の企画に集中します。

この記事の結論MVの完成度は撮る前の設計で決まる。コンセプトを歌詞・感情・色から一言に。絵コンテ(棒人間でOK)で画の流れを決め、ショットリストで撮る画を洗い出す。撮影前に場所・衣装・小道具・カット数を確定。参考MVは「真似る」でなく「要素を分解して借りる」。

全体像:企画の流れ

企画は、次の順で進めると迷いません。上から順にこなすだけで、撮影の設計図が完成します。

ステップやることアウトプット
①コンセプト曲の核を一言にする一行のテーマ
②絵コンテ曲構成に画を割り当てるラフな設計図
③ショットリスト撮る画を一覧化する撮影チェックリスト
④準備場所・衣装・小道具を決める撮影当日の段取り

この4つを紙かスマホのメモに書き出すだけで、当日の迷いが激減します。凝った書式は不要。自分が分かればOKです。

STEP1 コンセプトを一言で決める

企画の出発点は、この曲で伝えたいことを一言のコンセプトにすることです。歌詞とテーマから、いちばん強い感情や情景を取り出します。「終電を逃した帰り道の孤独」「もう一度、走り出す高揚感」——このように具体的な一言があると、映像の方向が定まります。

コンセプトは、必ずしも物語でなくて構いません。色・光・場所・質感といった抽象的なイメージでもOK。「夕暮れの逆光」「モノクロと一色」だけでも、立派な軸になります。大事なのは、凝った内容より曲の世界観と合っていること。この一言が、以降のすべての判断基準になります。「この画はコンセプトに合っているか?」と問えば、迷わず選べます。

コンセプトの引き出し方

「コンセプトが思いつかない」ときは、次の3つの入口から探すと出てきやすいです。

  • 歌詞から:一番好きな一行、一番伝えたいフレーズを抜き出す。その言葉が描く情景が、そのまま映像の核になります。作詞の世界観づくりは作詞のやり方も参考に。
  • 感情から:この曲を聴いた人にどんな気持ちになってほしいか。切なさ・高揚・郷愁——その感情を映像でどう表すかを考えます。
  • 色・場所から:曲を聴いて浮かぶ色や場所。青い夜、白い部屋、雨の街。抽象的なイメージから始めても構いません。

3つのどれか一つでも決まれば、そこから広げられます。自分の「らしさ」を軸にすると、他にはないMVになります。世界観づくりの考え方は世界観の作り方にもまとめています。難しく考えず、「この曲といえば、この画」という一枚が浮かべば十分です。

MVの型5パターン(方向性を選ぶ)

コンセプトが見えてきたら、それをどういう「型」のMVで表すかを選びます。MVには、大きく分けて次の5つの型があります。自分の曲・予算・撮影環境に合うものを選ぶと、企画が一気に具体化します。

特徴向いている場合
パフォーマンス型歌唱・演奏をそのまま見せる歌や演奏が武器・一人でも撮りやすい
ストーリー型物語やドラマを映像で描く歌詞に物語がある・出演者を頼める
イメージ型抽象的な情景・色・光で世界観を表す顔出しなし・雰囲気で聴かせる曲
ワンカット型一続きのカットで撮り切る編集を減らしたい・臨場感を出したい
ドキュメンタリー型日常や制作の様子をリアルに見せる等身大・応援ソング・親近感を出したい

これらは混ぜてもOKです。たとえば「パフォーマンス型+イメージ型」で、歌うシーンと情景カットを交互に見せる——これは最も定番で、一人でも作りやすい組み合わせです。初めての一本なら、パフォーマンス型かイメージ型がおすすめ。出演者やセットが要らず、スマホと三脚で完結できます。慣れてきたら、ストーリー型やワンカット型に挑戦してみましょう。型を先に選んでおくと、この後の絵コンテがぐっと書きやすくなります。

ムードボードで世界観を固める

コンセプトと型が決まったら、ムードボードを作ると世界観がぶれなくなります。ムードボードとは、目指す雰囲気を集めた「イメージの寄せ集め」のこと。難しいものではなく、スマホのアルバムに1枚のフォルダを作るだけでOKです。

  • 好きな色・トーンの写真:この曲に合う色味(青い夜、暖かい夕日など)の画像を数枚。
  • 参考にしたい構図・シーン:好きなMVや写真のスクリーンショット。「こういう画が撮りたい」の見本に。
  • 場所・衣装・小道具のイメージ:ロケ地や服装、使いたいアイテムの参考画像。
  • 言葉・キーワード:「静けさ」「疾走」「ノスタルジー」など、世界観を表す単語。

このボードがあると、撮影中・編集中に迷ったとき、立ち返る基準になります。「この色でいいんだっけ?」と思ったら、ボードを見れば一目瞭然。一人で作っていると、途中で世界観がブレていくことがよくありますが、ムードボードがあれば軸がぶれません。手伝ってくれる人がいる場合も、これを見せれば「目指す雰囲気」が一瞬で共有できます。ジャケットや世界観づくりの考え方はジャケットで世界観を伝える世界観の作り方も参考に。

STEP2 絵コンテを書く

コンセプトが決まったら、絵コンテを書きます。絵コンテとは、どんな画を、どの順で、どのくらいの長さで見せるかを描いた「映像の設計図」です。難しく考えず、次のように進めます。

  • 曲を区切る:イントロ/Aメロ/Bメロ/サビ…と、曲の構成でブロックに分ける。
  • 各ブロックに画を割り当てる:「サビは全身で歌う」「Aメロは手元アップ」など、どんな画かをメモ。
  • 簡単な絵を添える:棒人間や四角でOK。構図(アップか引きか)が分かれば十分。

絵が下手でも、まったく問題ありません。絵コンテは作品ではなく、自分と撮影のためのメモです。文字だけの箇条書きでも構いません。これがあるだけで、撮影当日に「何を撮ればいいか」で迷わなくなります。曲の構成を映像に対応させる感覚は、作曲の構成づくりとも通じます。

絵コンテの型(曲構成で割る)

絵コンテに迷ったら、曲の構成に沿って画の「濃さ」を変えるのが王道です。曲が盛り上がるところで映像も盛り上げる。この対応を意識するだけで、映像と音楽が一体になります。

パート映像のトーン画の例
イントロ世界観の提示・引き込み情景・環境・手元
Aメロ落ち着いて語る横顔・アップ・日常
Bメロ少しずつ高める動きを増やす・カット短め
サビ解放・いちばん見せる全身・歌唱・カットを速く
ラスト余韻・締め引きの画・フェード

この型を土台に、コンセプトに合わせて肉付けしていきます。全部を凝る必要はなく、サビ(いちばん見せたい画)から決めると、他のパートが設計しやすくなります。

絵コンテの実例(1曲まるごと)

言葉だけだとイメージしづらいので、「夜の帰り道の孤独」をコンセプトにした、イメージ+パフォーマンス型のバラードを例に、1曲まるごとの絵コンテを書いてみます。これをそのまま真似して、あなたの曲に置き換えてもOKです。

パート画(絵コンテのメモ)アングル
イントロ誰もいない夜の駅ホーム、明滅する照明引き・固定
Aメロ歩き出す足元、コートの裾、白い息寄り・手持ち
Bメロ横顔で歌う、背景に流れるネオンバストアップ・固定
サビ立ち止まって全身で歌う、見上げる空全身→あおり・カット速め
2番1番と同じ場所を、別の時間帯・別アングルで寄りと引きを交互
ラストサビ歩き出す後ろ姿、少しだけ表情が晴れる後ろ姿→横顔・ゆっくり
アウトロ遠ざかる背中、フェードアウト引き・固定

ポイントは、同じ場所・同じ衣装でも、アングルと時間帯を変えるだけで何カットも作れること。一人・低予算でも、この設計なら十分に見応えのあるMVになります。サビでいちばん見せたい「立ち止まって全身で歌う画」を先に決め、そこから前後を組み立てているのが分かるはずです。あなたの曲でも、まずサビの一枚を決めて、この表を埋めてみてください。棒人間の落書きを横に添えれば、それで絵コンテは完成です。

STEP3 撮影前に決めておくこと

絵コンテができたら、撮影当日に慌てないよう、次を先に決めておきます。

  • 場所(ロケ地):世界観に合う場所。屋内なら光の入り方、屋外なら時間帯(夕方は光がきれい)も考える。撮影の許可が必要な場所もあるので事前確認を。
  • 衣装・見た目:曲の雰囲気に合わせる。世界観の統一に効きます。
  • 小道具:楽器、象徴的なアイテムなど。
  • 必要なカット数:絵コンテから逆算して、撮るべき画をリスト化(次章)。

とくに「予備を多めに撮る」のは鉄則です。編集で使える素材が多いほど、自由に組めます。天候や時間で変わる屋外は、代替プランも考えておくと安心です。

ショットリストを作る

絵コンテを、実際に撮る作業に落とし込むのがショットリストです。撮るべき画を一覧にしておくと、当日「撮り忘れ」がなくなり、効率も上がります。次のような項目でメモします。

  • シーン番号:絵コンテのどのブロックか
  • 画の内容:何を、どのアングルで(引き/寄り)
  • 場所・小道具:撮る場所と必要なもの
  • チェック欄:撮り終えたらチェック

同じ場所で撮る画はまとめて撮る、といった段取りも、リストがあれば組めます。一人で撮るなら特に、このリストが当日の道しるべになります。撮影の実務はスマホでMVを自作する方法を参照。リストを片手に、上から順に撮っていけば、迷いません。

撮影スケジュールと段取りの組み方

ショットリストができたら、それを「撮る順番」に組み替えると、当日がぐっとラクになります。絵コンテの順(曲の流れ)と、撮影の順(効率のいい順)は、別物だと考えてください。

  • 場所ごとにまとめて撮る:同じロケ地の画は、曲順に関係なく一気に撮る。移動の無駄が消えます。
  • 光の条件で並べる:屋外は、夕方のきれいな光(ゴールデンアワー)で撮りたい画を、その時間に集中させる。明るいうちに屋外、暗くなったら屋内、という流れも有効です。
  • 衣装・セットが同じものをまとめる:着替えやセット替えの回数を減らすと、時間も体力も節約できます。
  • 大事なカットを先に:体力も集中力も、後半は落ちます。いちばん見せたいサビの画は、元気なうちに撮っておく。

撮影は、思ったより時間がかかるものです。1シーンにつき何テイクか撮ることを見込んで、余裕のあるスケジュールを。屋外なら、天候が崩れたときの予備日や代替ロケも考えておくと安心です。「詰め込みすぎない」——これが、良いテイクを撮るいちばんのコツです。撮影・編集の実務はスマホでMVを自作する方法にまとめています。

参考MVの上手な分解の仕方

企画に詰まったら、好きなアーティストのMVを参考にするのが有効です。ただし、丸ごと真似るのはNG。やるべきは、「なぜ良いのか」を分解して、要素を借りることです。

分解のコツは、次の観点で「良い理由」を言語化すること。①色使い(トーン)、②カットの切り替え方(テンポ)、③構図(引き/寄りの配分)、④どこで何を見せるか(構成)。「この色使いが好き」「このカットの切り替えが気持ちいい」と分析し、自分の曲の世界観に合う形で取り入れます。いくつかの参考MVから、良い要素を一つずつ借りて組み合わせれば、自然と自分らしいMVになります。この分解の考え方は、楽曲制作のリファレンス曲の使い方と同じです。

一人で撮るときの企画の工夫

個人アーティストの多くは、一人でMVを撮ります。一人だと、同時に撮影と演技ができないので、企画の段階で「一人でも撮れる形」に寄せておくのが成功のカギです。

  • 固定カメラ中心の構図:三脚で固定して撮れる画を多めに。動かすカットは最小限に。
  • 自分が写らなくても成立する画:手元、風景、小道具、影。これらは一人でも撮りやすく、顔出しなしにも使えます。
  • 歌唱は口の動きだけ合わせる:音源を流しながら口パクで撮り、後で音源を重ねる。三脚固定なら一人で完結します。
  • タイマー・リモコンを活用:スマホのセルフタイマーやBluetoothリモコンで、一人でも撮影開始できます。

一人だからと、できることを狭める必要はありません。むしろ制約があるからこそ、シンプルで世界観の伝わるMVになることも多い。「一人で撮れる絵コンテ」を組む——この視点を持つだけで、当日が驚くほどスムーズになります。仲間がいれば手伝ってもらうのも手です(音楽コラボ・客演の頼み方)。

やりがちな5つの失敗

  • ①コンセプトなしで撮り始める——軸がないと、世界観がバラつきます。まず一言のコンセプトを。
  • ②絵コンテを飛ばす——当日「何を撮る?」で迷い、素材不足に。ラフでいいので設計図を。
  • ③サビを後回しにする——いちばん見せたい画から決めると、全体が設計しやすい。
  • ④素材を撮り足りない——編集で困ります。予備を多めに。
  • ⑤参考を丸ごと真似る——要素を分解して借りる。自分の世界観に合わせて。

どれも、企画の段階で防げるものばかりです。撮る前の30分の設計が、撮影と編集の何時間もを救います。

予算・チーム・人の頼み方

MVは一人でも作れますが、誰かに手伝ってもらうと、できることが一気に広がります。予算とチームについて、現実的な考え方を整理しておきましょう。

  • 0円〜数千円(一人):スマホ+三脚+無料アプリ。パフォーマンス型・イメージ型なら、これで十分に戦えます。まずはここから。
  • 数千円〜数万円(少人数):撮影を手伝ってくれる友人が一人いるだけで、動きのある画や複雑な構図が撮れます。カメラ役がいれば、あなたは演技に集中できます。
  • 頼み方のコツ:手伝ってほしいことを具体的に(「この時間、この場所で、スマホで撮ってほしい」)。絵コンテとショットリストを共有すれば、相手も動きやすい。お礼や、いつか相手の作品を手伝う約束も忘れずに。

音楽仲間やクリエイター仲間がいれば、撮影・編集を分担したり、お互いのMVを撮り合ったりできます。仲間の作り方や頼み方は音楽コラボ・客演の頼み方音楽仲間の作り方を参考に。ただ、「人がいないから作れない」は禁物。まずは一人で撮れる企画で一本完成させ、その実績を見せられれば、手伝ってくれる仲間はあとから見つかります。

STAR ROUTE MUSIC AGENCY

あなたの曲の「世界観」、映像でどう見せる?一緒に考えます。

MVの企画は、自分の曲を客観的に見る作業でもあり、独りだと迷いがちです。スタールートは、書類や音源だけで一方的に選別しません。まずオンラインで面談し、あなたの音楽や世界観を直接聞くところから始めます。映像の企画から発信の設計まで、全国どこからでも完全オンラインで伴走します。未経験・地方在住も歓迎、相談は何度でも無料、無理な勧誘はありません。

走り出す前のチェックリスト

  • コンセプトを一言で言えるか
  • 曲の構成ごとに、撮る画を決めたか(絵コンテ)
  • 撮る画を一覧化したか(ショットリスト)
  • ロケ地・衣装・小道具を決めたか
  • サビ(いちばん見せる画)から設計したか
  • 参考MVの「良い理由」を分解したか
  • 一人で撮れる形になっているか
  • 予備を多めに撮る計画があるか

全部にチェックが付かなくても大丈夫。企画は、完璧より「撮り始められる状態」になれば十分です。設計図を片手に、まず一本撮ってみましょう。

よくある質問

Q. 絵コンテは絵が下手でも作れますか?

A. 作れます。絵コンテは作品ではなく、自分と撮影のための設計メモです。棒人間や簡単な四角でも、どんな画をどの順で撮るかが分かれば十分。文字だけの箇条書きでも構いません。大切なのは絵の上手さではなく、撮る前に映像の流れを決めておくことです。

Q. MVのコンセプトが思いつきません。

A. 曲の歌詞とテーマから出発するのが近道です。この曲で一番伝えたい感情や情景を一言にし、それを映像にどう表すかを考えます。抽象的なイメージ(色・光・場所)でも構いません。凝った物語より、曲の世界観と合っていることが最優先です。

Q. 企画に時間をかける意味はありますか?

A. あります。MVの完成度は、撮影の腕前より『撮る前の設計』で大きく決まります。行き当たりばったりで撮ると、素材が足りなかったり世界観がバラついたりしがちです。先にコンセプトと絵コンテを決めておくと、撮影も編集も迷わず進み、結果的に時間も節約できます。

Q. 一人でMVを撮るとき、企画で工夫することは?

A. 一人だと同時に撮影と演技ができないので、固定カメラで撮れる構図を中心に企画します。手元・風景・小道具など『自分が写らなくても成立する画』を多めに用意し、歌唱シーンは三脚固定で。撮影と演者を一人でこなす前提で絵コンテを組むと、当日スムーズです。

※ 本記事は情報提供を目的としたものです。撮影する場所・楽曲・素材の権利は各自でご確認ください。最新の内容・料金・キャンペーン等は無料相談時にご案内します。スタールートは全国どこからでもオンラインでご相談いただけます。

← コラム一覧へ

公式LINE無料相談