録音した自分の声を聞いて、「うわ、これが私の声…?」と固まったことはありませんか。低い、高い、鼻にかかる、か細い——理由は人それぞれでも、「自分の声が嫌い」という気持ちは、歌いたい人の足をいちばん強く止めてしまいます。この記事は、その声とどう仲直りしていくかを、ある女性の物語とともにたどります。すぐに好きにならなくていい。まずは、隣で読んでください。
初めてスマホで自分の歌を録音した夜のことを、覚えているでしょうか。再生ボタンを押して、聞こえてきた声に、思わず停止した——そんな経験を、本当に多くの人がしています。頭の中で鳴っていた声と、スピーカーから出てきた声が、まるで別人だった。
その瞬間、「私、こんな声だったんだ」という小さな落胆が胸に落ちます。そして多くの人が、そこで一度、歌うのをやめてしまう。もったいない、と外野は言うけれど、本人にとっては「こんな声で人前に出るなんて無理」という、切実な理由なのです。
まず知っておいてほしいのは、「録音の声が変に聞こえる」のには、はっきりした理由があるということです。気のせいでも、あなたの声が特別ひどいわけでもありません。
ふだん自分が聞いている声は、空気を通って耳に入る音に、骨を伝って頭の中で響く低い音が混ざっています。だから、いつも自分では少し低く、豊かに聞こえている。ところが録音には、この骨の響きが入りません。だから急に高く、薄く、頼りなく聞こえる。つまり——
録音の声こそが、他人がいつも聞いている「あなたの本当の声」なんです。あなたが違和感を持つその声を、周りの人はずっと聞いていて、たぶん、そんなに変だとは思っていません。
今はSNSや配信で、自分の声を録って聞く機会が一気に増えました。tuki.さんやimaseさんのように、宅録の声そのままでたくさんの人の心を掴んだ人も当たり前になっています。「録音の声」と向き合わずに済む時代ではなくなった分、この違和感でつまずく人も増えました。でも、ここを越えた先に、届く声があります。
会社勤めをしながら弾き語りを始めた、みなみさん(仮名・28歳)の話をさせてください。彼女は昔から、自分の低くてハスキーな声が嫌いでした。「もっと澄んだ、かわいい声だったら」と、ずっと思っていたそうです。
初めて録った弾き語りを聞いて、彼女はやっぱり落ち込みました。「思ってたより、ずっと男っぽい」。1週間、スマホの録音フォルダを開けなかった。
それでも彼女がやめなかったのは、ある一言のおかげでした。おそるおそる友人に音源を送ったとき、返ってきたのは「え、めっちゃ良い声じゃん。夜に聴きたい声」だったのです。自分が一番嫌っていた「低さ」を、他人は「落ち着く」と受け取っていた。
「私が消したかったところを、good だと言われた。あの瞬間から、自分の声のことを、ちょっとだけ味方だと思えるようになったんです」——みなみさん
そこから彼女は、毎晩5分だけ自分の録音を聞くようにしました。最初は苦行だったのが、2週間で慣れ、1か月後には「まあ、こういう声だよね」と受け止められるように。半年後、彼女の弾き語り投稿には、「この声、クセになる」というコメントが並ぶようになりました。声は、何も変わっていません。変わったのは、彼女と声の関係でした。
ここで少し、視点を変える話をします。人の心に長く残る歌は、必ずしも「きれいな声」ではありません。むしろ、少しかすれていたり、低かったり、鼻にかかっていたり——その人にしかない引っかかりが、記憶に残ります。
| 嫌いになりがちな特徴 | 見方を変えると |
|---|---|
| 低い・男っぽい | 落ち着く・大人っぽい・夜に沁みる |
| 高い・幼い | 透明感・耳に残る・親しみやすい |
| かすれる・ハスキー | 色気・エモい・唯一無二 |
| 細い・弱い | 繊細・切ない・寄り添う |
もちろん、「見方を変えろ」と言われて、すぐ好きになれるほど簡単ではありません。でも、あなたが消したい特徴を、誰かは探しているかもしれない。そう思えるだけで、少し息がしやすくなります。自分らしい表現を探したい人は自分らしい音楽が分からないもそっと寄り添ってくれます。
考えてみれば、みんなが同じ澄んだ声だったら、音楽はきっとつまらない。誰かの声が刺さるのは、それがその人だけの響きだからです。あなたが「嫌だ」と感じているその一点が、いつか誰かの「この声じゃなきゃ」になる。今すぐ信じられなくてかまいません。ただ、その可能性を、消さないでいてほしいのです。
気持ちの話だけでは前に進みにくいので、今日からできる小さな練習も添えておきます。無理のない範囲で、一つだけでかまいません。
大事なのは、声そのものを別人に変えることではなく、その声で誰かに何かを届けた経験を一つ作ること。一度でも「あなたの声で救われた」と言われたら、嫌いだった声が、急に大切なものに変わります。
ここまで読んでも、「頭ではわかるけど、やっぱり好きになれない」——そう感じても、まったく大丈夫です。声のコンプレックスは、そんなに簡単にほどけるものではありません。時間がかかっていい。
ただ、一つだけ。この気持ちを、一人きりで抱え込まないでほしいのです。自分の声が嫌いなまま歌おうとするのは、目隠しで歩くようなもの。隣に「その声、いいよ」と言ってくれる人がいるだけで、歩ける距離はまるで変わります。みなみさんを前に進めたのも、たった一人の「いい声じゃん」でした。
スタールートは、そういう「隣の一人」でありたいと思っています。あなたの録音を一緒に聞いて、どこがあなたの魅力かを言葉にして返す。嫌いだった声を、届く声に育てていく。全国どこからでもオンラインで、相談は何度でも無料です。うまく歌えなくても、声が嫌いでも、そのまま話しに来てくれて大丈夫です。他人と比べて苦しい夜には他人と比べてしまう問題も、そっと置いておきます。
A. 普段自分が聞いている声は、空気を通って耳に届く音に、骨を通じて頭の中で響く低い音が混ざっています。録音では骨を通る響きが入らないため、いつもより高く薄く聞こえて違和感が出ます。つまり、録音の声こそ他人が聞いているあなたの本当の声です。慣れれば違和感は小さくなります。
A. できます。多くのプロも、最初は自分の声が嫌いだったと語ります。人の心に残るのは、きれいな声よりも「その人らしい声」であることが少なくありません。低い・かすれる・高いといった特徴は、磨けば個性になります。嫌いな部分こそ、あなたにしかない武器になり得ます。
A. 声そのものを別人のように変えることはできませんが、発声や滑舌、響かせ方を整えることで、聞こえ方は大きく改善します。こもる・鼻にかかる・か細いといった悩みは、口の開きや呼吸のクセが原因のことが多く、練習で通る声に近づけられます。まず原因を知ることが第一歩です。
A. まず録音した声を毎日少しずつ聞いて、慣れることから始めてください。次に、自分の声を褒めてくれた言葉を思い出す、好きな歌手にも自分と似た声質の人を見つける、といった視点の切り替えが効きます。嫌いを消そうとするより、その声で人に何かを届けた経験を一つ作るのが、いちばん近道です。
STAR ROUTE MUSIC AGENCY
自分の声を、自分だけで好きになるのは難しいものです。スタールートは、あなたの録音を聞いて、どこが魅力かを言葉にして返し、その声を届く声に育てる音楽事務所です。全国どこからでもオンラインで伴走し、相談は何度でも無料。うまく歌えなくても、声が嫌いでも、そのままで大丈夫。まずは、今の気持ちを聞かせてください。